Q1:そもそも肝臓は、どのような働きをしているのですか?
肝臓は、
- 栄養分(糖質、たん白質、脂肪、ビタミン)の生成、貯蔵、代謝
- 血液中のホルモン、薬物、毒物などの代謝、解毒
- 出血を止めるための蛋白の合成
- 胆汁の産生と胆汁酸の合成
- 身体の中に侵入したウイルスや細菌の感染の防御
などの500を超える重要な機能を持っていて、我々が生きていくためには、肝臓が健康であることが大切です。
しかし、肝臓は「沈黙の臓器」と言われるように、病気になってもなかなか症状が出ません。そのため、本人が「何となく体がだるい」と感じる頃には、肝臓の病気はかなりの重症にまで進んでしまっているのです。
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Q2:肝炎とはどのようなものですか?
肝炎とは「肝臓に炎症が起きている状態」、すなわち肝臓の細胞が破壊されている状態を指します。
原因別に、以下のような種類に分けられます。
- ウイルス性肝炎
肝炎ウイルスによる
- 薬剤性肝炎
薬物や毒物、化学物質による
- アルコール性肝炎
アルコールによる
- 自己免疫性肝炎
異物を攻撃するための免疫系が、自分自身を攻撃してしまうことによる
日本では、肝炎の多くが1.ウイルス性肝炎だと言われています。
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Q3:ウイルス性肝炎とはどのようなものですか?
ウイルス性肝炎とは、肝炎ウイルスに感染して、肝臓の細胞が壊れていく病気です。本来肝臓は再生能力が高く、例えば手術でその半分以上を切り取っても元の大きさまで再生できるほど丈夫な臓器ですが、この病気になると徐々に肝臓の機能が失われていき、ついには肝硬変や肝がんといった、再生すらも不可能な病気に進行してしまいます。
主な肝炎ウイルスにはA型、B型、C型、D型、E型の5種類があります。詳しい症状とそれを起こしやすい肝炎ウイルスの型は以下のとおりです。
- 慢性肝炎:
B型、C型肝炎ウイルスによるものが多い。長期間にわたり軽度の肝障害が続く。徐々に肝臓が繊維化し、肝硬変や肝がんに至ることがある。
- 急性肝炎:
A型、B型、E型肝炎ウイルスによるものが多い。急速に肝細胞が破壊されるために、発熱、全身倦怠感、黄疸などの症状があるが、自然経過で治癒することが多い。
- 劇症肝炎:
急性肝炎のうち、発症から8週間以内に高度の肝機能障害を起こし、脳症などを来すもの。集中的な医学管理を要する。生存率は30%ほど。
なかでもB型及びC型肝炎ウイルスの患者・感染者は合わせて300万人を超えており、国内最大の感染症とも言われています。
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Q4:B型肝炎とC型肝炎はどう違うのですか。
B型肝炎とC型肝炎の異なる点としては、
- C型肝炎は、感染してから慢性肝炎、肝硬変、肝がんといった病気になりやすいのに比べ、B型肝炎はこうした病気にならないことが多い
- B型肝炎の方が感染力が強い
などがあります。
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Q5:肝炎ウイルスは、どのようにして感染しますか?
肝炎ウイルスは、血液を介して人から人へと感染します。
(主な感染経路)
- 肝炎ウイルスが含まれている血液の輸血等を行った場合
- 注射針・注射器を肝炎ウイルスに感染している人と共用した場合
- 肝炎ウイルス陽性の血液を傷のある手で触ったり、針刺し事故を起こしたりした場合(特に保健医療従事者は注意が必要です。)
- 肝炎ウイルスに感染している人が使用した器具を、適切な消毒などを行わずにそのまま用いて、入れ墨やピアスの穴あけなどをした場合
また、B型肝炎ウイルスでは、以下のような感染経路も考えられます。
- B型肝炎ウイルスに感染している人と性交渉をもった場合
- B型肝炎ウイルスに感染している母親から生まれた子に対して、適切な母子感染予防措置を講じなかった場合
したがって、肝炎ウイルスの感染予防に当たっては、他人の血液に安易に触れないようにすることが重要です。
ただし、肝炎ウイルスは空気感染はしませんので、常識的な注意事項を守っていれば、日常生活でうつることはまずあり得ません(他人の血液に触れることの多い、医療従事者のような場合は除きます)。こうしたことを理解し、肝炎の患者・感染者を差別することのないようにしましょう。
(主な注意事項)
- 歯ブラシ、カミソリなど血液が付いている可能性のあるものを共用しない
- 他の人の血液に触るときは、ゴム手袋を着ける
- 注射器や注射針を共用して、非合法の薬物(覚せい剤、麻薬等)の注射をしない
- 入れ墨やピアスをするときは、適切に消毒された器具であることを必ず確かめる
- よく知らない相手との性行為にはコンドームを使用する
(感染しない事例)
- 肝炎ウイルスに感染している人と握手した場合
- 肝炎ウイルスに感染している人と抱き合った場合
- 肝炎ウイルスに感染している人の隣に座った場合
- 肝炎ウイルスに感染している人と食器を共用した場合
- 肝炎ウイルスに感染している人と一緒に入浴した場合 等
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Q6:肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べるにはどのような検査をするのですか?
肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、血液を採取して調べます。わずかの時間の検査で、数週間後には結果を知ることができるので、気軽に受診できます。
なお、肝炎ウイルスに感染した直後では、身体の中にウイルスが存在しても、検査で感染を発見できないことがあります。ですから、Q5の注意事項のようなことがあって、感染したのではないかと不安になったときでも焦らずに、数週間後に検査を受けてみてください。
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Q7:肝炎ウイルス検査はどこで受けられますか?
肝炎ウイルスの検査は、様々な機関が様々な制度で行っています。
検査を受診する機会があるかどうかは、ご本人が加入されている医療保険の保険者(例えば、政府管掌健康保険であれば社会保険事務所、組合管掌健康保険であれば健康保険組合、また国民健康保険であれば市町村等)に問い合わせてみてください。
また、こうした他の制度で検査を受けられなかった場合や、そもそも他の制度の対象にならない場合にも、都道府県等が行っている保健所での検査を受けることができます。また、保健所だけでなく医療機関でも検査を受けられる場合があります。そうした具体的な実施機関や実施日程、費用(保健所や委託医療機関での検査は、基本的に無料で受けられるよう国が補助をしています)は都道府県等によって違いますので、お住まいの都道府県等に問い合わせてみてください。
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Q08:感染が分かったら、どうすればいいでしょうか。
肝炎ウイルスに感染していたとしても、肝臓の状態は人によってまちまちです。場合によっては治療を受ける必要がないこともありますが、すぐに本格的な治療をしなければいけない場合もあるでしょう。いずれにせよ、肝臓の状態は自覚症状の有無では判断できませんので、感染していることが分かった以上は、一度、専門家にかかって診断してもらうことが重要です。
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Q09:ウイルス性肝炎の医療は、どこに行けば受けられますか?
都道府県では、順次「肝疾患診療連携拠点病院」の選定を進めています。これは、都道府県内における肝臓の医療において中心的な役割を果たす病院であり、 この病院を核として、国民に身近な各病院・診療所も含めた医療全体の質の向上を図っています。(図参考)
肝炎の専門医療を受けたい場合は、かかりつけ医に相談して、こうした専門の医療機関又は専門医を紹介してもらうことをお勧めします。

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Q10:ウイルス性肝炎の治療法には、どのようなものがありますか。
薬を使う肝炎の主な治療法には、1.インターフェロン療法などを用いる抗ウイルス療法と、2.肝庇護療法の2つの方法があります。以下で簡単な説明をいたしますが、詳しくはかかりつけ医にお尋ねください。
- 抗ウイルス療法
「インターフェロン療法」とは、免疫系・炎症の調節等に作用する「インターフェロン」という薬を注射する療法で、B型肝炎であれば約3割、C型肝炎であれば約5割から9割(肝炎ウイルスの遺伝子型や量によって異なります)の人が根治可能です。
ただし、強い副作用を伴うことが多いので、実施に当たってはかかりつけ医との相談が必要です。(※主な副作用:インフルエンザ様症状(発熱、頭痛、筋肉痛など)、白血球・好中球減少、血小板減少、不眠や抑うつ、投与部位の痛み、脱毛、めまい)
抗ウイルス療法には、このインターフェロン療法のほか、肝炎ウイルスの増殖を抑える役目を果たす抗ウイルス薬を投与する療法があります。
- 肝庇護療法
肝庇護療法とは、抗ウイルス療法により十分な効果が得られなかった場合に、肝細胞が壊れる速度を遅くすることで、慢性肝炎から肝硬変への進展を抑えることができる療法です。
肝硬変がある程度進んだ段階では、この肝庇護療法を行いながら、定期的に超音波(エコー)などで肝がんが発生していないか検査し、発生した場合は早期発見、早期治療を目指すことになります。
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Q11:ウイルス性肝炎の治療に関する医療費助成とは、どのようなものですか?
厚生労働省では、平成20年度からB型及びC型肝炎のインターフェロン治療に対する医療費助成を行うこととしました。
これは、
- 肝炎が我が国最大の感染症であること
- 肝炎に対するインターフェロン治療が奏効すれば根治が可能であり、その結果、肝硬変や肝がんといったより重篤な病態への進行を防止することができること
- しかしながら、このインターフェロン治療が高額で患者の治療へのアクセスがよくないこと
などにかんがみ、早期治療の推進のために行うもので、患者の世帯所得(市町村民税課税年額)に応じ、その自己負担を月額1万円から5万円までに軽減します。
| 階層区分 |
階層区分基準 |
自己負担上限額 |
| |
世帯あたり市町村民税(所得割)課税年額 |
|
| A階層 |
65,000円未満 |
10,000円 |
| B階層 |
65,000円以上235,000円未満 |
30,000円 |
| C階層 |
235,000円以上 |
50,000円 |
受給のためには、インターフェロン治療を必要としていることを示す診断書など、以下のような書類が必要となります。(感染経路を問わずに行う助成ですので、感染原因を証明するカルテなどは不要です)
(必要書類)
- 肝炎インターフェロン治療受給者証交付申請書(発行:お住まいの都道府県)
- 医師の診断書 (発行:かかりつけ医など)
- あなたの氏名が記載された被保険者証等の写し(発行:各保険者)
- あなたの属する世帯の全員について記載のある住民票の写し
- 市町村民税課税年額を証明する書類 (CD発行:お住まいの市町村)
実際の必要書類、提出先などは都道府県によって異なりますので、詳しくはお住まいの都道府県にお尋ねください。

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Q12:ウイルス性肝炎について、国はどんなことをしていますか?
厚生労働省では、平成14年度の「C型肝炎等緊急総合対策」以来、ウイルス性肝炎について
- 検査体制の推進
- 診療体制の整備・研究の促進
- 感染予防
- 普及啓発・相談事業
などの対策に取り組んできました。
平成20年度からは、こうした取組に加え、新たにB型及びC型肝炎のインターフェロン治療に対する医療費助成を行うこととし(Q11参考)、これを柱とした新たな肝炎総合対策を実施しています。
全体の概要は以下のとおりです。
- インターフェロン療法の促進のための環境整備
- 肝炎ウイルス検査の促進
- 保健所における肝炎ウイルス検査の受診勧奨と検査体制の整備
- 市町村及び保険者等における肝炎ウイルス検査等の実施
- 健康管理の推進と安全・安心の肝炎治療の推進、肝硬変・肝がん患者への対応
- 診療体制の整備の拡充
- 肝硬変・肝がん患者に対する心身両面のケア、医師に対する研修の実施
- 国民に対する正しい知識の普及と理解
- 研究の推進
- 肝疾患の新たな治療方法の研究開発
- 肝疾患の治療等に関する開発・薬事承認・保険適用等の推進
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Q13:「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第\因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」に基づく給付金とは、どのようなものですか?
「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第\因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」とは、出産や手術での大量出血などの際に特定のフィブリノゲン製剤等を投与されたことによってC型肝炎ウイルスに感染された方々に対して、症状に応じた一定の給付金をお支払いすることを定めた法律です。
給付金の支給を受けるためには、国と製剤の製造・輸入販売を行った企業を被告として訴訟を提起していただく必要があります。その上で裁判所に、
- 特定のフィブリノゲン製剤等を投与されたこと(製剤投与の事実)
- その製剤によってC型肝炎ウイルスに感染したということ(製剤投与と感染との因果関係)
- C型肝炎感染による症状等
の3点を確認してもらった上で、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構に対して所要の申請を行う必要があります。
詳細は、以下連絡先にお問い合わせください。
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Q14:上記法律の対象となる特定のフィブリノゲン製剤等の投与を受けたかどうかは、どうすれば分かりますか。
フィブリノゲン製剤は人の血液から作られた製剤で、出産で出血の多かった方や止血が困難となったときに使用されていました。また、手術(心臓手術など)の際にフィブリン糊(のり)として使用された場合もあります。
実際にこの製剤等を投与されたかどうか、それを証明するカルテ等の書類が残っているかどうか等は、投与された可能性がある医療機関(お産をしたり、手術を受けたりした医療機関)にお問い合わせください。
なお、当時フィブリノゲン製剤等を使用された可能性があると思われる方には、「C型肝炎ウイルス検査受診の呼びかけ」を以下の厚生労働省ホームページで
行っており、そこにフィブリノゲン製剤(フィブリン糊としての使用を含む)の主な使途や、この製剤等を納入していた医療機関のリストも掲載していますので、ご参照ください。
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参考1:フィブリノゲン製剤(フィブリン糊としての使用を含む)を1994(平成6)年以前に使用された可能性のある方(検査受診の呼びかけの対象にしている方)
▼1994年(平成6年)以前に公表医療機関で治療を受け、下記(1)〜(5)に該当された方
- 妊娠中又は出産時に大量の出血をされた方。
- 大量に出血するような手術を受けた方。
- 食道静脈瘤の破裂、消化器系疾患、外傷などにより大量の出血をされた方。
- がん、白血病、肝疾患などの病気で「血が止まりにくい」と指摘を受けた方。
- 特殊な腎結石・胆石除去(結石をフィブリン塊に包埋して取り除く方法)、気胸での胸膜接着、腱・骨折片などの接着、血が止まりにくい部分の止血などの治療を受けた方
ただし、上記対象者の方のみが、肝炎ウイルスに感染しているわけではありません。これらの方以外でも感染している場合はありますので、以下の(参考2)に該当する方で、肝炎ウイルス検査を受けた経験のない方には、肝炎ウイルス検査の受診を特におすすめします。
なお、過去に肝炎ウイルス検査を受診されている方は、検査受診後、新たに(参考2)のような事由が生じていない限り、再度検査を受診する必要はありません。
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参考2:C型肝炎ウイルス感染の可能性が一般より高いと考えられている方々
- 1992(平成4)年以前に輸血を受けた方
- 大きな手術を受けた方
- 血液凝固因子製剤を投与された方
(注) 血液凝固第[、第\因子製剤は、血友病以外に新生児出血症(新生児メレナ、ビタミンK欠乏症等)等の病気で「血が止まりにくい」との指摘を受けた方や、肝硬変等の疾患や手術により出血が多かった方に使われた可能性があります。血友病以外で血液凝固第[、第\因子製剤を使用された可能性がある疾患・医療機関については、
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/01/h0117-3/index.html
をご参照ください。
- 長期に血液透析を受けている方
- 臓器移植を受けた方
- 薬物濫用者、入れ墨をしている方
- ボディピアスを施している方
- その他(過去に健康診断等で肝機能検査の異常を指摘されているにもかかわらず、その後肝炎の検査を実施していない方等)
※ B型肝炎、C型肝炎については、より詳しいQ&Aを公開しています
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